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2025.07
東急建設株式会社 環境部 小ノ澤様 総務部 土井様、天野様にお話を伺ってみました。
BCPについて
インタビュアー:災害時緊急時のご契約に関して、「緊急時特別給油業務委託契約(第2順位)*」をご検討いただいたきっかけを教えてください

土井様
当社はゼネコンとして基礎的な事業継続力があるかどうかという認定を国土交通省から受けています。その認定において「災害時の燃料を手配できるのか」も重要な審査項目です。当初はそうした背景の中で御社とご契約させていただいたと理解しています。
*現在、当該契約形態は廃止し、緊急時最優先給油業務委託契約へ一本化しております
インタビュアー:最上位である「緊急時最優先給油業務委託契約」に切り替えるきっかけは能登半島地震だったと伺いました。

土井様
そうですね。当時、契約形態を一本化するという御社からのご提案もありましたが、能登半島地震の際、社内で『こういう非常時にこそ役立たないとゼネコンとして価値がない』という共通認識がありました。
しかし、地理的な制約があったとはいえ、なかなか思うような行動が取りづらく反省点が残りました。その中で御社のサービスは災害時に力になっていただけそうだと認識しました。
インタビュアー:能登半島地震の際にはどのような支援を行われたのでしょうか?

土井様
工事として、緊急復旧工事案件や、ため池の応急復旧工事などを行わせていただきました。

小ノ澤様
また、能登半島地震の際は被災され住まいを失ってしまった方はもちろん、応援部隊の方の住む場所がないという課題に対し、協力会社による台数確保がベースですが『モクタスキューブ』という当社発案の可搬型木造建物を現地に置かせて頂きました。
モクタスというのは『木』のことで、木材使用による吸湿性の高さは、現地からも高評価を頂戴しております。


土井様
全国に拠点が多数あり、ドライバーの皆さんを含めて全員が御社の社員と伺いました。
他社と比べても社員一人一人のモチベーションが数ランクも高いと認識しました。
また、展示会での明道さんのご講演も拝聴し、しっかりした会社だと改めて認識させて頂き、「この会社だったらお任せしても絶対大丈夫だ」と確信し契約をさせて頂きました。
インタビュアー:担当営業の印象はいかがでしょうか?

天野様
(一言で)最高です(笑)
インタビュアー:契約継続に際して、体制面やエリアなど弊社に期待していることはありますか?

土井様
最も懸念しているのは南海トラフ地震です。静岡県から宮崎県までと想定震源域が広く、名古屋支店からも燃料確保について懸念の声もあるため、どこで地震が発生しても対応可能な体制づくりを希望しています。
バイオ燃料について

インタビュアー:現在弊社が提供しているB5燃料・B100燃料といったバイオ燃料について、導入のきっかけをお聞かせください。

小ノ澤様
世界的に二酸化炭素の排出削減が重要な課題となる中で、当社もスコープ1・2の排出量を削減していく必要があり、SBTなどの外部認証を取得し、取り組みを進めています。
スコープ2(電力)については、2030年度までに全電力を再エネ化する目標に向け順調に削減できていますが、一方で、スコープ1の化石燃料は課題です。特に建設現場で使用する揚重機は電動化も一部進んでいますが、軽油を使用するものに比べて価格が高く、市場での実用性の観点ではまだまだです。

小ノ澤様
したがって、軽油を使いながらも、CO₂排出量を抑えられる代替手段を模索する必要があります。それがバイオ燃料でした。
他のゼネコン各社や日建連、国交省もその必要性に注目しています。
当社は2年前に御社の狭山工場が稼働したことが大きなきっかけとなり、情報提供やご協力を頂きながら取り組みを加速でき、さらに今年の4~5月には奥さん・仙場さんのご尽力もあり包括契約を締結致しました。
これにより現場への導入と社内での認知拡大が進みました。まだ使用量は多くありませんが、今後さらに多くの現場での活用を見込んでおり非常に良いタイミングでスタートできたと感じています。
インタビュアー:今後、包括契約を結んでいるB5燃料をはじめ、バイオ燃料の取り組みをどのように発展させていきたいとお考えでしょうか?

小ノ澤様
B5燃料は、各重機メーカーからは使用可能との見解が出ていても、実際の現場ではまだ十分に理解が追いついておらず、使用は限定的です。
バイオ燃料導入初期に他社でトラブルがあったという話もあり、それが導入への慎重姿勢につながっている面もあるようです。
そのため、当社でも必要に応じて事業本部のメンバーが現場へ直接説明に伺うなど、地道な対話とサポートを重ねています。今後は、B5燃料にとどまらずオンロード車両での活用やB7燃料などの新たな選択肢も視野に入れながら、より削減効果の高い燃料を使っていけるように検討を進めていきます。
インタビュアー:数ある選択肢の中で御社がバイオ燃料への切り替えを検討・導入された理由、特にその利点はどのような点にあるとお考えですか?

小ノ澤様
やはり最大の利点はCO₂削減効果です。国から認定を受けているB5軽油は品質面でも信頼性が高く、現場も安心して使えるというのが大きなポイントですね。HVO(水素化処理植物油)と比べるとCO₂削減量が少ない側面もありますが、現場での実用性とバランスを考えると、まずは着実に進めていくことが重要だと考えています。
インタビュアー:多くの企業がCO₂削減への取り組みに足踏みする中、御社は非常に高い確度で進めていらっしゃいます。会社案内にある「3つの提供価値(脱炭素、廃棄物ゼロ、防災・減災)」という考え方は経営層からのトップダウンによるものなのでしょうか? それとも現場からのボトムアップによって加速されたものなのでしょうか?

小ノ澤様
当社では2030年度を目標とする企業ビジョン「VISION2030」を2021年度に策定しました。この実現に向けた10年間の長期経営戦略において6つのマテリアリティ(重要課題)を掲げています。
特に「気候変動への対応」は事業活動の基盤として最重要視しており、そこから利益を創出していくという考え方を明確にしています。その中核に位置づけているのが「脱炭素、廃棄物ゼロ、防災・減災」という3つの提供価値です。


小ノ澤様
これらは「経営や収益のため」ではなく、「環境価値を事業の根幹に据える」という明確なメッセージとして打ち出しています。よく「環境と経営の両立」と言われますが、当社の場合は“環境か経営か”という天秤ではなく、環境を中心に据えたうえで事業を成り立たせていくという考え方です。当社ではその価値観を共有した上で、低炭素燃料などコストが上がる選択も、単なるコストではなく「未来への投資」と捉え、意思決定を行っています。

編集後記
東急建設の皆さまとの対話を通じて特に印象的だったのは、「環境と経営の両軸、環境価値を経営の根幹に据える」「環境への取り組みは“コスト”ではなく“投資”」という言葉。
3つの提供価値で社会を支える東急建設の姿勢が今後の建設業界における新たな標準になるかもしれません。
この新たな標準に弊社としても燃料配送を通じて寄与出来るよう、今後も邁進して参ります。